長期的に元気食欲を維持している、猫ちゃんのリンパ腫の症例を報告いたします。

症例は、現在14歳1ヶ月齢の女の子です。

去年の6月に左眼の涙が多いから目薬が欲しいとのことでご来院になられました。

細胞診、病理組織診断、リンパ球クローナリティ検査から眼窩および下顎リンパ節、結腸壁のリンパ腫と診断いたしました。

お住まいの環境から、ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ)という注射薬単体での治療を選択されました。

週一回のお注射を継続し、半年間腫瘤は寛解状態を保っておりました。それ以外の治療はほとんどしておりません。

去年の12月、僅かに体重が減少し、触診にて再度結腸腫瘤が大きくなったことが確認されました。

腸がうまく食べ物を運べなくなってきているので食べる量が減り、体重が減少していると考えられました。

相談の結果、腸閉塞を引き起こす前に手術をすることになりました。

注意!手術中の写真が表示されます!

今回の腫瘍は小腸と大腸が吻合する部分に発生していたため、その吻合部を丸っと切除する手術となりました。

合併症としてほぼ必ず軟便が生じます。

この子はちょっと柔らかいくらいで、良便が出る時もあるそうです。

無事体重も増え、元の体重よりも大きくなってきました。

病理診断では

「本症例では過去に下顎リンパ節において、リンパ腫の疑いと診断されており、同一腫瘍である可能性も除外できません。」

とのコメントがあり、「下顎および眼窩の腫瘍」と「結腸の腫瘍」は別のリンパ腫である可能性が十分に考えられるとのことでした。

そのため、まだロイナーゼは効いている可能性があり、今後も継続していく予定です。

参考になれば幸いです。

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