先日、唇の出来物を取った子の話です。

出来物といっても、こんな感じでかなり大きい腫瘍です。

ムギちゃん。目が見えないのでちょっと怖がりさん。腎臓病も抱えています。出来物は裏側まで貫通して出てきてしまっています。

ご来院の時点で、この出来物は過去の検査にて「線維肉腫」と判定されていることがわかっておりましたが、最近急速に大きくなり、皮膚が破れて出血してきてしまいました。

線維肉腫を根治させるためには、非常に大きく皮膚とその下の組織の一部を切り取らなければなりません。そうなると、お鼻も切り取らなければならないかもしれません。

そのため今回は「根治的な手術」ではなく、「緩和的な手術」を行うこととしました。

緩和的、とは根治を目指さず、今現在動物や飼い主様が困っている症状のコントロールのために行う、ということです。

今回は

ムギちゃんの悩み:出血による貧血、ご飯を食べにくい、痛い

飼い主様の悩み:出血の管理、ムギちゃんが困っていることに対する心労

の解決を目指します。

とはいえ、これだけの大きな出来物を取ると唇に大きな欠損ができてしまいます。

実際には唇の皮膚は全然伸びませんので、裏側の粘膜もほっぺたあたりまでバッサリ切ってさらに皮膚を骨から剥がして…

ようやく鼻のところまで皮膚をずらすことができました!

何とか皮膚と皮膚をくっつけることができました

唇を切るのはとても痛いので、フェンタニルというお薬を使ってしっかり鎮痛をしました。

手術直後はお鼻が左に曲がっていましたが、先日抜糸にいらしていただいた時にはかなり普通なお顔になってきておりました。よかった…

鼻がまっすぐに戻ってきている!

ご飯もよく食べられるようになり、体重も増えてきております。

あくまで緩和的な手術なのでこれから腎臓のチェックとともに、再発の有無をよく観察してまいります。

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